The Selected Reviews and Interviews from Magazines








The time of 1994-1995- Love Me

The time of 1993- Shyness

The time of 1992- Melting Moment






The time of 1994-1995 - Love Me


NORIKOが案内する禁断の(?)世界へ。

リオ・デ・ジャネイロ育ちの日本人女性、NORIKOが創る音楽 を、"ロリータポップ"と呼ぶことはたやすい。 危うげな ウィスパー・ヴォイスはフレンチポップそのものだ。 しかし甘 い甘いコーティングのすぐ内側は刺と毒をたっぷり含んだ妖しい愛のストーリーの数々。 今回、自らプロデュースを担当し東京でレコーディ ングした理由は、前作であまりにも色濃かった"モーマス色"(モーマスは全作のプロデユーサーであり、ポイズン・ガー ル・フレンドの名は彼のアルバムから取ったもの)を払拭するためだというが、NORIKO自身の強烈な個性が全面に打ち出された不可思議な世界が誕生した。
M・ポルナレフらのカバー曲を含むこのアルバムは、エロティックなフレンチテイストが、ダブ、ハウス、アンビエントといった上質のUKクラブ・サウンドに溶け込み、何とも贅沢でスリリング。
 (流行通信 1995年2月号)





さまざまなスタイルに手を広げた色彩豊かな作品

前作"シャイネス"は、良くも悪くもモーマスー色に染まっ てしまった作品だったが、今回はNORIKOのセルフ・プロデュー ス。そのせいだろうか、胸に針を突きつけられたような"寸前の 緊迫感"といったものを感じる。つまりこれが彼女自身の表現し たかったものなのだろう。とても痛々しい......。 サウンドは打ち込み主体で、リズム・マシーンのチープなスネアが体の 芯に響き、そしてバスドラがまるで心臓の鼓動のように脈打つ。そのす き間に流し込まれるシンセの音。そして、それらすべてを包み溶かして しまう彼女のウィスパー・ヴォイス......。
M4は、あのミッシェル・ポルナレフのカバー。スタンダード・ナン バーの持つパワーと存在感、それを彼女はものの見事に壊してしまい、 全く新しく自分の色に塗り変えてしまっている。また自分の内的な世界 を描かんとすると、得てしてそのイメージに固執し過ぎるあまり、作品 全体を通して聴くと逆にその印象が薄れてしまう場合があるが、今作で は、彼女自身さまざまなスタイルに手を広げており、その結果非常に色 彩豊かな作品に仕上がっている。これで彼女の進むべき方向が定まった のではないか......そう思わずにはいられないほど、彼女自身が 見事に写し出された作品だ。(石脇 剛 / Sound & Recording Magazine , December, 94 )





本物のロリータより百倍執拗な"受け身の破壊願望"

ロリータを一言で定義するなら、それは"受動態の性的挑 発"ということになると思う。欲望され視姦され弄ばれ寵愛され る存在としての美ー少女。だから、ロリータは成熟した女であってはい けないし、何より"みずから欲望する主体"であっては駄目 なのだ。"生意気娘"になれても、ロリータは"悪 女"にはなれない。いざとなったら男の腕力と暴力でズタズタに 犯してしまえるのがロリータだからだ。"15歳過ぎたら皆オバ ン"のロリータの定義によれば、とっくの昔にロリータではない ポイズン・ガールフレンドのnOrikOの歌には、凶暴なまで の"受動態の女としてズタズタにされたい"願望がみなぎ  っている。昨年クリスマスのモーマスとのジョイント・ライヴで も"愛する人に殺されたらどんなに幸せだろう"と言ってた nOrikO。彼女にとって、ロリータを演じることは、愛によって露呈され た内面の弱さを、存在の徹底的な無防備にまで延長し、壊れやすい魂そ のものになって壮麗に散ってしまうことなのだ。"ロリータ的な るもの"に取りつかれた憑かれた人間は皆このような内面的臆病 さを抱えている。彼女のお気に入りのゲーンズブールにしてもそうだ。 彼が"操り人形"として作り上げたバーキンを初めとするウ イスパー・ヴォイスのロリータ達は"声を張り上げて堂々と歌う 成熟した女がこわい"ゲーンズブール自身の憶弱の投影だった。
ポイズン・ガールフレンドの新譜 "LOVE ME" で nOrikOは 全曲を英詞と仏詞で歌い、愛のねじれた欲望と残忍さについて囁く。奪 われる。縛られる。閉じ込められる。キスされる。愛ーされる。その囁 きの中に含まれた獰猛なる愛の飢渇は、本物のロリータより百倍執拗 な"受け身の破壊願望"を表徴しているのだ。(小田島久恵  Text from Rockin' On Japan, 1995)
* 一部シス テム上の都合により、本人許諾の上雑誌掲載時とは異なった表現を用い ておりますが、御了承ください。


パンクから入った人間はどうして も"感覚がすべて"みたいなものがある

_モーマスに代わって、今回はセルフ・プロデユースですよね。いつ頃 決められたんですか?
N(Noriko): 夏くらいですね。(94年)今回もモーマスとやろうか と、ふたりのあいだで話し合いがあったんですけど、レコード会社の OKが出なかったので......。レコード会社はもう少しポイズン・ ガール・フレンド独自のソウンドを期待していたみたいですね。
_作曲はどういうふうに始めるんですか?
N: だいたい、ピアノを弾きながら自然と歌詞が出てきたりするんで す。その後、リズムを決めて上にかぶせていくという王道のパターンで す。リズム・ボックスが昔からすごく好きで、とりあえず適当に打ち込 んで、というのが多かったんですけど、去年オールインワンのX 3をやっと買ったんですよ。ライヴでキーボードを弾こうと思って買っ たんですけど、結局上達しなくて。シーケンスの組み方なんかが今ひと つつかめなくて、半年以上ほっといたんですよ。そしてある日突然、私 はキーボードのシーケンスというのは向いていないんじゃないかと思っ たんです。やっぱり昔みたいに手作りで、リズム・ボックスで打ち込ん で、それからピアノをかぶせてという形で曲を作った方がいいんじゃな いかと。だからこのアルバムのレコーデイング前にRー8を買っ たんですよ。そうしたらすぐに使いこなせちゃった。プログラミングも すぐにできて。それで味をしめてもう一度X3にチャレンジした んです。そうしたらラフのデモを作れるというところまでは成長したん です。
_シーケンサーというのはそれが初めてだったんです か?
N: 初めてですね。
_それまではMTRを使って?
N: いえいえ。普通のWカセットで(笑)。
_ざっと、資料を読んでみますと、初めは80年代のニューウエイヴか らですか?
N: もともとピアノを習っていた頃はピアニストになりたいなという のもちょこっとあったんです。でも、ピアニストになるほど私のピアノ の音は綺麗ではないなと自分自身で納得してしまって。それで、たまた まパンクに小学生の時に出会って。もしかしたら自分にも音楽ができる んじゃないかなとその時に思ったんです。
_今回、音を聴かせてもらうと、表で鳴っている音はすごくシンプルで すよね。でも裏で鳴っている音が凝っているように思ったんですけど。
N: アンビエントがすごく好きなんです。自分で今やっとプロ グラミングを始めたばかりなので、次回こそ全部自分でプログラミング したいなと、密かに思っているんです。
_今はどんなアーティストに感心があるんですか?
N: いろいろありますけど、.....ポーテイスヘッドとか。
_ポーティスヘッドですか。さっきのアンビエントという話が具体的に 見えてきました。あのアンビエント感が好きなんですね。でしたらシー ケンスは必要不可欠ですね。本格的にコンピューターを導入したいとは 思いませんか?
N: 思います。今度"キューベース"を使いたいなと思っ ているんですよ。こういう音楽をやりながら、機材にうといのはよくな いです。
_ただパンク/ニューウエーヴを聴いてきた人たち は機材にどうしても弱くなっちゃう(笑)。
N: そうですね。どうしても感覚がすべてだみたいなものがある。私も YMOにいっていれば、小さい頃から機材をいじってたかなとか思うんで す(笑)。
_この作品をどんな風に聴いてもらいたいですか?
N: どうなんでしょうね、POiSON GiRL FRiENDの音楽というの はいったい日本のどの辺に位置するのか自分でもわからないですけど ね。ただ、キーボードに関しては自分ではまだ素人だと思っているんで す。でも、わからないなりに素人だからできるみたいなこともあるよう な気がして。こんなに節操のないものを作っちゃっていいのかとも思う んですけど(笑)それがたぶんポイズン・ガール・フレンドなんじゃな いでしょうか。いろいろな要素が混在しているという。
_最先端でおしゃれという、そういう音ではないですね。
N: そうですね。その辺がだから、80年代の音楽を聴いてきた人な んだなというのがわかると思うんです。本当にアコースティックも好き だったし、ニューウェーヴも好きだったし、ハウスも好きだったし。そ ういう人が作るとこうなると。こういう時代だからこそ、自分の好きな ものを好きと言うのが、今はいちばん清いんじゃないかと思っていま す。流行とかに左右されないで。今回けっこう恥ずかしげもなくエレ ポップみたいな曲とかあるでしょう。でも日本でNew Orderとか Pet Shop Boysが好きだとかいうと馬鹿にされがちなんですけど、私は 全然そうは思わなくて、素晴しいアーティストだと思っています。
(Text from Keyboard Magazine, Feb., 95)





The time of 1993- Shyness


よすぎる! モーマスによるプロデュース&アレ ンジ、曲提供、演奏、それからルイ・フィリップ、サイモン・ターナー らが参加しているけれども、彼らの最近作よりもこっちのほうが俺、 ずっーと好き。セイント・エチエンヌが下品に思えてくる。質感極上、 そしてそれが不世出のウイスパー・ヴォイスという中心点にむかって、 きれいな螺旋を描く。M4、5とか、転げまわりたいほど好き。 お願いだからアナログ出して(クリエイション?)。川崎大助(text from Remix,Aug.,93)



モーマスとの競作アルバムを発表する注目の日本人女性シンガー

_まず、出身地とか生年月日とかを教えていただけますか?
N(Noriko): 生まれたのは東京なんですけど、生年月日は.... 不詳ということで(笑)。
_では、"ポイズン・ガール・フレンド"というユニット名 の由来は?
N: モーマスの"ポイズン・ボーイ・フレンド"というア ルバムのタイトルからきています。最初はNorikoという名前でソ ロとしてデビューする話があったんですが、それはあんまりなので、 Noriko&ザ・ポイズン・ボーイ・フレンドとしてやろうかなと思ったの ですが、それも何かカッコワルイかなと思って。で、いっそのこと私が みんなのポイズン・ガール・フレンドになっちゃえっていうことになっ たんです。
_モーマスの音楽にインスパイアされて音楽を始めたのですか?
N: きっかけはパンクだったんです。実は"女ジョン・ライド ン"になりたいな、みたいな感じで始めたんです。(笑)。
_元々ヴォーカルですか?
N: ええ。ただ、その遊びでやっていた高校時代のバンドが解散した 頃、私はスミスが好きだったんですけど、その頃に一人でイギリスに遊 びにいってビリー・ブラックのライヴを観てからは、ギター一本でも ロックができるんだなって思って、家にあるピアノとギターとリズム・ ボックスで一人で曲を作ってテープに録音したり、たまにライヴをやっ たりするようになりました。
_現在のようなウイスパー・ヴォイスで歌うようになったのもその頃か らですか?
N: そうです。ただ、始めた頃は歌詞は日本語で、今よりもパンキッ シュでドギツイ感じだったんです。で、それをそのまま自声で歌うとキ ツイ感じになるかな、と思って。パッと聞くとお洒落なんだけど、実は 凄いことを歌ってるっていうのが好きだったんですね。
_歌い方にはジェーン・バーキン辺りの影響もあるのでしょうか?
N: そういうわけではないんですが、母がシャンソンをやってた関係 で、子供の頃からフランスの音楽はよく聴いていました。それから3 歳〜7歳までリオデジャネイロで過ごしたので、サンバとか、ボサノバ とか、ラテンにも馴染んでました。幼児体験がラテンしてたからこうい ういい加減な人間に育ってしまったのかもしれませんね(笑)。
_シンガーとして影響を受けた人は?
N: 女性だとブリジット・フォンテーヌ。男性だとジョン・ライドン とジョー・ジャクソン(笑)。
_アクの強い人が好きなんですね。
N: 昔からアヴァンギャルドなものには魅かれますね。今でもライヴ では1〜2曲、即興的なこともやってますし....。
_歌詞を作る時に何かモチーフとなるものはありますか?
N: やはり実体験がもとになっている場合が多いです。リアリティー のある歌詞が好きなんです。歌詞に於いて最も影響を受けたのは、やは りスミスだと思いますね。私は回りくどい歌詞とか詩的な歌詞とかって ダメなんです。ラヴ・ソングでも本当に直接的なものでないとダメ。
_性格も激烈なんですか?(笑)
N: もの凄い激しい(笑)。極端な性格なんです。ただ、今回のアル バムの歌詞に関しては、それほどドギツイ歌詞とかはないです。
_人間が丸くなった?
N: いえ、丸くはならないですけど(笑)。
_今回のアルバムはモーマスとのコラボレーションということですが、 この企画が実現したいきさつを説明していただけますか?
N: まず、ある雑誌のインタビューで、モーマスが気に入っている アーテイストとしてポイズン・ガール・フレンドの名前を挙げてくれた んです。で、今度はその雑誌から私が取材を受けることになってモーマ スについてコメントしたら、その記事を彼の日本人の友達が訳して伝え たそうなんですね。そうしたらモーマス自身からFAXが送られて きて、共演しようという話になったんです。
_彼との仕事はうまくいきましたか?
N: 最初は彼が私の作品をどこまでプロデュースしていいものかとい うことで悩んでしまったようなんですが、私も中途半端なことは嫌いな ので、もう全面的に彼に任せて、私はシンガーに徹しようということに なったんです。ただ、彼はこれまで自分一人で何年間も音楽を作り続け てきて、あまり他の人と一緒にやったことがないので、どうしても自分 の殻の中で全てを完結させようとするところがあるんです。最初の頃は それで衝突しそうになったりもしたんですが、結果的にはうまくコラボ レートできたと思います。
_モーマスの人脈でルイ・フィリップやサイモン・ターナーといった人 達も参加してますね。
N: そうですね。サイモンは本当に面白い人で、ワインのボトルを片 手にスタジオにやってきて、いろんな楽器を即興で弾きなが ら"この曲もやらせて!この曲もやらせて!"っていう感じ で2日間スタジオで遊びまくって帰っていきました(笑)。
_エンドルフィンから出た1stアルバムの中には、ハウスっぽい アプローチも見られましたが、今回のアルバムはそうでもないですよ ね。今回は自分自身の音楽的ルーツに立ち戻ってみようみたいなことも 意識されたわけですか?
N: そうですね。実際に、今回のアルバムには4〜5年前に作った曲 とかも入っているんですが、私が最もモーマスの音楽に魅かれていた頃 に作った曲を彼が選んでいて、面白いなと思いました。原点に戻ったと いう感じも確かにありましたが、逆にそれほど原点から変わっていな かったということにも気づきましたね。それと、今回のアルバムには モーマスが10年前に作った曲とかも入っているんです。彼も私も自分 の作った曲に対して執着が深いみたいですね。
_次はどんな作品を作りたいですか?
N: 今度は一人で作ってみたいと思っています。
_では、最後に将来の夢は?
N: 夢ってみないんです。子供の頃から。現実にしか興味がないとい うか、叶うことしか夢みないというか、思ったら必ず実現しちゃう し.....。明日死んでもいいと思って音楽を作っています。
(Text from Remix Magazine,July,1993 )






The time of 1993 - Melting Moment


夢の中の女性のよに美しくもまがまがし い.......。混沌とした東京にあらわれたジャンヌ・ダルク、 POiSON GiRL FRiENDエンドルフィンよりデビュー

彼女の歌声を聴いた晩は、不思議な夢を見る。景色はそれこそ夢のよう に美しくかつまがまがしく、消え入りそうにはかなくも、強烈な印象を のこす。 起きぬけにはそのあまりの生々しさに戸惑う、朝方に見る夢。しかし、 歴然と夢なのだ。夢でしかありえない、夢。
といった具合に、POiSON GiRL FRiENDについて言葉をつくそうと すると、私はついレトリックの迷路に没入しそうになる。もっと具体的 にいこうか。私がここに紹介したいのは POiSON GIRL FRiEND = NORIKOという名のシンガー。昨年自主制作で出したCDがにわかに 話題になり、この5月にビクターのエンドルフィン・レーベルからミ ニ・アルバム"MELTING MOMENT"をリリースした。そこに見る彼女 はまるで夢の中の女のように、確固とした個性を持ちながらもつかみど ころがない。
"POiSON...は、私のなかでも"部分"なんです。私のポップ な部分。特に今回はちょっとおとなしめだし。もうちょっと過激なのも 入れたかったんだけど"
というNORIKO、高校時代に最 初に組んだバンドではクラッシュのコピーをしていた、と笑う。
彼女の歌にのる英詩は、流暢なイングリッシュでもなければ、日本人特 有の英語でもない。むしろフランス人が英語を歌っているかのような独 特の発音とメロディ・ラインだ。これが彼女の歌に不思議な陰影、距離 感を与えている。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで幼い頃の3年間を 過ごしたという経験からだろうか。
"発音のせいというのはあるでしょうね。やっぱり小さいときに身につ いたものというか。中学校の英語の授業のときには、もうこんな発音 で、全然直らなかった。 "
彼女の場合は日本語でものを考えて英詩をかくのではなく、頭の中から すでに英語で歌詞が成り立っている。そしてこの発音、発声。幼女とも 成熟した女性ともつかない(からこその)魅力がある。が、その歌声 は、実際の彼女の話し声ともギャップがある。またしても距離感。
"そうなの。私の場合、マイクを通すとまるで違ったイメージが生まれ ちゃうみたい。自分でも、歌っている自分は自分であって自分でないみ たいな感じもあるのな。つい客観的にみてしまう。ゲスト・ヴォーカル で友達のバンドやユニットに参加することも多いんだけど、私の歌が入 るとやっぱりちょっと違う世界にトリップしてしまうみたい"
この客観性が、彼女の個性的な距離感、トリップ感につながっているよ うに思う。エンドルフィンのレーベル・カラーや、ゲスト参加すること のあるいくつかのハウス・ユニットと、共通するニュアンスを持ちなが らも、また違うところに彼女はいる。"信仰にちかいほどのバン ド願望もある"という発言もその周囲とは一線を画したものだ。
POiSON.....は部分だという言葉どおり、彼女は今、新しくアンビエン ト・ハウスのプロジェクトを計画中。ぱっと見の華奢な印象とは程遠い バイタリティ。
"実は男っぽい性格なんですよ。反骨精神が旺盛だし、なにより逆境 に、混乱期に強い。ジャンヌ・ダルクみたいな感じかもしれない (笑)"
そうか。ジャンヌならば、本物の夢だ。彼女自身が消えない夢だ。と、 ひとりごとながら、私はまたその夢に没入する。
(Text by シライ ユタカ from R&R News Maker, 1993)



モーマスお気に入りの日本人アーティスト、ポイズン・ガールフレ ンド。しかしてその正体はミステリアスな魅力を漂わす女性、 nOrikOのソロ・ユニットであった。はたして彼女のモーマス観は?その 核心に今、迫る!
_最初にモーマスを知ったのはいつ頃ですか?
N: たぶん87年だと思います。"Murderers,the hope of women"というシングルを買った時が初めてです。
_その時はどう感じました?
N: もういてもたってもいられないような、これは自分なんじゃない かと思って(笑)。本当あたしはこういうことをやりたいのよ、でもギ ターはこんなにうまく弾けないし(笑)。そういう感じがすごくあった んですよ。それからのめりこみましたね。スミスとモーマスぐらいなん ですよね、この時代聴いていた音楽っていうのは。ネオアコのファンと かって幅広く聴きますでしょ?私全然そういう聴き方していなくて、も う一途なんです。思い込んだら。
_モーマスの好きな点はどこですか?
N: 彼のブリティッシュ特有の発音と発声方が好きなんです。もちろ ん音楽性も好きなんですけど。彼は私の3大ヴォーカリストの1人なん です。他の二人はテリー・ホールとニュー・オーダーのバーナード・サ ムナー(笑)。皆アクセントが独特なんです。ボソボソと語るみたい な。本当は私は男に生まれて、彼らみたいな声と発音で歌を歌いたかっ たというのがものすごくあります。
_モーマスの音が徐々に変化していったことはどう思われました?
N: ものすごい自然でしたね。あたしもそうなんですけど、きっと彼 もニューウェイヴ以降の人だと思うんですよね。だから、まるっきり自 然に受け止めてしまいました。いわゆるネオアコのファンっていうと、 シンセサイザーとか使うと裏切りだ、みたいなことを言いがちですけ ど、そういうのって私は思っていないな。アレンジが変わってるだけ で、彼の世界は一貫して変わってないものだから、そんな見捨てないで くれっていう感じですね。だから新作ヴォイジャーにしても、彼にとっ ては、あれをそのままアコースティック・ギター1本でもできるだろう し、今はこういう形をとったんだなと思います。あたしもそうだしね。 (笑)。すごいよく分かります。
_今回の来日公演は御覧になりました?
N: はい。それから今回のライヴの前に、ロンドンのカムデンでも観 たんですよ。お客さんが50人位しかいなかったんですけど(笑)。そ の時は、マニピュレーターさん1人とモーマスの2人だけでやったんで すけど、もっとナヨナヨした耽美派的な人なのかと思ってたら、ものす ごく男らしくって、どちらかといえばフレディ・マーキュリーのような 人で。パントマイムとかやったりして自分の歌の世界をしっかり持って いる人だなとビックリしました。
_モーマスはポイズン・ガールのフレンドの音楽をすごく気に入ってい るみたいでしたが、nOrikOさんはモーマスと直接会って話したこ はありますか?
N: ないですね。で。実はね、成田空港でいたんですよ、モーマスが。 CDとか何も持っていなくて、話しかけられなかったんですけど。でも、 そういうふうにポイズン・ガールフレンドの音を聴いてもらっていたな ら、空港で話してみればよかったかなと、ちょっと後悔しています。そ ういえば、"Melting Moment"を作る時にビクターの佐藤さん (ディレクタ_)のほうから、"モーマスをプロデユーサーにし ますから、ビクターに来てください"って言われたんで巣よ(一 同大爆笑)。
ビクター佐藤: でも次はモーマスがプロデユースというのをマジで考 えてるんですけどね。
_彼と共演したらどんな音になりそうですか?
N: よりポップになるんじゃないかな。ただ。意識してそうやってる のだと思うけど、打ち込みがかなり弱いですよね、モーマスは。たぶ ん、PGFの場合はね、もっと重低音をきかせてヴォーカルはあく まで飛んでいるみたいな方向に持っていきたいですね。あと、彼と ちょっとデュエットとかしたいな、とかね(笑)。
_海外からの反応はありますか?
N: ウィリアム・オービットが結構気に入ってくれています。あと、 私もうひとつアンビエント系のバンド、ダーク・アイド・キッドってい うのをやっていて、一応そちらでもプロデュースしたいとの話が彼のほ うからきています。
_今、共演したいアーティストはいますか?
N; この世界を突き詰めるのであれば、モーマスとやりたいです。あ とは全く別に、アルチュール・アッシュのバックバンドと一緒にやろう かなって話もチラッとはあるんですよ。でも、そうするとこの世界じゃ なくなっちゃうんですよね。だからそれはちょっと先になるでしょう ね。
(Text by 小暮秀夫 from City Road Magazine, 1993)




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